映画「ビック・アイズ」を見た感想です!
映画「ビック・アイズ」はちょっといつものティム・バートン監督作品とは違った雰囲気の作品です。
実話をもとにした作品は「エド・ウッド」以来久しぶりです。
映画「ビック・アイズ」はファンタジー要素よりも、より深い人間ドラマが中心となっています。
この作品映画「ビック・アイズ」を観終わった感想をまとめたいと思います。
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「ビック・アイズ」の感想:低予算が功を奏した人間ドラマとファンタジーのバランス
「ビック・アイズ」を観た感想としては、ティム・バートン作品にしては、ファンタジー要素がほとんどなかったなということです。
予備意識なく感想していたら、ティム・バートン監督作品と気が付かなかったかもしれません。
その分、ストレートな人間ドラマが巧みに描かれていました。
「チャーリーとチョコレート工場」や「アリス・イン・ワンダーランド」などのファンタジー超大作では、ユニークなファンタジー要素が最大の魅力でした。
今回もそのようなファンタジー要素が盛り込まれてくると思っていたので、ちょっと驚きでした。
その理由は製作費です。
この映画「ビック・アイズ」の製作費は12億円ほどと言われています。
素人からすると、これだけで十分な金額のように思いますが、同じくティム・バートン監督作品の「アリス・イン・ワンダーランド」の制作費は200億円以上なのです。
それに比べたら確かに、ティム・バートン監督の作品としたら超低予算と言えますね。
ティム・バートン監督は、この映画「ビック・アイズ」を愛しているからこそ、このような低予算でも作りたいと思ったのです。
この限られた製作費により、ファンタジー要素を多く盛り込むことは出来ず、映画「ビック・アイズ」は、人間ドラマ中心の作品になったとのですが、これにより、人間ドラマが丁寧に繊細に描かれていて見ごたえのある作品になっていました。
また、ファンタジー要素が少ないからこそファンタジーのシーンが活きているという効果もありました。
マーガレットがスーパーで買い物をしながら、自分の描いた絵がコピーされて大量消費されているのと目撃するシーンがあります。
ショックを受けた彼女には、スーパーの中にいる人たちの目が、自分の描くビック・アイズと同じように大きくなっていくように見えてしまいます。
「ビック・アイズ」の中で、このシーンはとても印象的でした。
なぜ印象的かと言うと、それまでファンタジー的描写がなかったところで、突然目が大きく変化するという異様なことが起きたからです。
ファンタジーシーンに溢れていたら、見逃してしまうようなシーンかもしれませんが、他にファンタジー要素がなかった分、このシーンが非常に際立って、マーガレットの困惑する気持ちが非常に上手く表現されていました。
「ビック・アイズ」の感想:ウォルターという隠れた主役の面白さ
この作品は、マーガレットという女性が逆境の中から抜け出し幸せを手に入れるという物語です。
主役はエイミー・アダムス演じるマーガレットです。
もちろん、マーガレット演じるエイミー・アダムスの熱演も良かったのですが、夫ウォルター演じるクリストフ・ヴァルツの怪演には及びませんでした。
ウォルターは、嘘に嘘を重ねた筋金入りのペテン師です。
マーガレットに出会った時に画家と名乗るのですが、そもそも画家であることも真っ赤な嘘でした。
何事においても信念やプライドはなく、その代わりに野心や向上心は人一倍あります。
一方、優れた芸術家でありシングルマザーでもあるマーガレットは信念の強い女性のように見えましたが、実は男性より一歩引いた古き女性でした。
夫に嘘を強要されても反抗することなく言いなりになって絵を描き続ける姿にはちょっと共感が持てませんでしたが、1960年代の女性としては当たり前のことだったのでしょう。
マーガレットのこの献身的な姿が、より一層ウォルターの嫌な部分を際立てるのです。
この夫婦関係の描き方が上手いですね。
「ビック・アイズ」の感想:ウォルターというキャラクター
また、ウォルターというキャラクターの面白いところは、悪者ではないというところです。
嫌な奴ではありますが、絶対的悪者ではありません。
悪さをする中にも人間臭さが溢れていて、とてもリアルなキャラクターなのです。
こんな人周りにいるいる、と思うような人間味あるキャラクターです。
だから、映画「ビック・アイズ」は、観ていてどんどん引き込まれてしまいます。
最後の裁判のシーンで、裁判官から実際に絵を描いてみるように言われたウォルターは、「腕が痛くて描けない」と何とも幼稚な嘘をつきます。
この言葉と聞いた時に、これがウォルター!
確かにウォルターならこう答えるだろうなあ、とすっかりウォルターに気持ちが入っていました。
特に信念もなく、その場しのぎの嘘を繰り返すのです。その先どうなるかなんて考えずに。
物語はこの裁判によりマーガレットが勝訴したことで幕を閉じるのですが、その後のウォルターの人生が非常に気になります。
この一連の事件の中、大恥をかかされたウォルターですが、きっとこんなことで生き方を変えたとは思えません。
その先の人生でも色々な嘘を重ねていったことでしょう。
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「ビック・アイズ」の感想:ノーマークだったクリストフ・ヴァルツに驚き!
映画「ビック・アイズ」で、ウォルターを演じたクリストフ・ヴァルツは、私はノーマークの俳優だったので、度肝を抜かれてしまいました。
嬉しいサプライズでした。
スティーヴ・ブシェミやフィリップ・シーモアホフマンのように、変人キャラクターを得意とする俳優は大好きです。
今後、クリストフ・ヴァルツがどんな役を演じるのか、楽しみです。
ティム・バートンが真正面から描いたドラマはとても面白いものでした。
とにかく、映画「ビック・アイズ」で、ウォルター演じるクリストフ・ヴァルツの演技に圧倒されました。
「ビック・アイズ」の感想:本人そっくりのウォルダー・キーン
映画「ビック・アイズ」でウォルターを演じたクリストフ・ヴァルツ。
ずる賢い策略家で、暴力的な一面もありますが、人間らしく憎めないキャラクターでもあります。
マーガレット本人も、このクリストフ・ヴァルツの演技を見て、全てがウォルター本人だったと語っています。
出来上がった映画「ビック・アイズ」を観た時には衝撃を受けたほど似ていたとコメントしています。
「ビック・アイズ」の感想:実存のマーガレット・キーンの本心は?
それから、やはり、この映画、実話ということでたいへん興味深い作品でもあったのですが、実話ということで、じゃあ、本物のマーガレット・キーンの本心はどうだったのだろう?
と、やはり実在のマーガレットの気持ちが気になります。
映画の中のマーガレットを観ていると、どうして本当の作者は自分だと公表しないのか?夫の言いなりになっているだけなのか?と思ってしまいます。
ずば抜けた才能があるにも関わらず、それが認められないばかりが、夫に命じられるままに生きるマーガレットに、私は、少し違和感がありました。
しかし、マーガレット本人は、裁判が終わってからも、自分が犠牲者であったとは思っていないと言っています。
自分もウォルターと共謀していたわけで、常に罪悪感を抱えていたとコメントしていました。
自分の意志ではなかったにせよ、ウォルターが嘘をつくことを許した自分にも罪があったと感じていたのです。
夫への怒りとともに、罪悪感に悩まされた彼女の苦悩は相当大きなものだったのでしょう。
マーガレットは、80歳を越えた今でも、元気に絵を描き続けている魅力的な老婦人です。
夫に嘘を強要されながらも、自分を見失うことなく貫き通した意志の強い女性だったのでしょうね。
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映画「ビック・アイズ」を観た私の感想でした。
では、次は映画「ビック・アイズ」のティム・バートン監督について見てみましょう!
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