映画「セッション」の評価:高評価を受ける理由
アカデミー賞をはじめ、実に多くの映画賞を受賞することとなった「セッション」。
はじめは、低予算映画で、それほど注目度の高い作品ではなかったのです
でも、2014年サンダンス映画祭で高い評価を受けて、観客賞と、見事グランプリを受賞することになります。
これをきっかけに公開以降、高評価で、さまざまな映画の賞をとって旋風を巻き起こし、今までにない斬新的、画期的な作品として多くの人々を魅了することになります。
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映画「セッション」の評価:各映画賞を受賞
そして、アカデミー賞では、作品賞、助演男優賞、録音賞、編集賞、脚色賞の5部門にノミネートされました。
そして、助演男優賞、録音賞、編集賞の3部門を受賞するという快挙を成し遂げました。
アカデミー賞で助演男優賞を受賞したJ・Kシモンズは、さらに、ゴールデン・グローブ賞でも助演男優賞を獲得しています。
それ以外にも英国アカデミー賞をはじめ、様々な映画賞を受賞しています。
J・Kシモンズの助演男優賞は、アカデミー賞を含めて、数えただけでも約30もありました!
映画「セッション」の評価:描かれる普遍的なテーマ
低予算ながら、ここまで高い評価を受けたのはなぜでしょうか?
それは、ドラム演奏を通して描かれている普遍的なテーマだと思います。
主人公のアンドリュー・ニーマンは、ジャズドラマを学ぼうと名門の音楽学校に入ったちょっと頼りない消極的な学生でした。
音楽学校でも周囲に認められた存在ではなく友人もいません。
地道にドラムの練習はしているものの、自らアピールする度胸もなく、好きな女の子に対しても遠くから見ているだけでした。
しかし、教官であるテレンス・フレッチャーという強烈な人物に出会うことにより、彼の人間性は徐々に変わっていきます。
音楽の世界で成功するためには恋人の存在が邪魔になるだろうと決めつけて、仲良くなった彼女と別れます。
初めは、フレッチャーに一方的に指導を受けて、フレッチャーの理想に近づこうと必死になります。
フィッチャーのドラミングに対する要求は、狂気に満ちていて、常軌を逸した恫喝と暴力の指導でした。
ニーマンはそれに応えるために、流血の努力をします。
何度も何度も、絆創膏を貼っては氷水で冷やします。
見ているだけで、痛さが、伝わってきます。
しかし、その努力は結局達成できずに、音楽学校を退学という形で挫折に終わってしまうのです。
しかし、ラスト9分の凄まじいドラム演奏シーンで、彼はついに殻を破ります。
フレッチャーの理想通りに演奏するという姿勢を捨てて、やっと主体的な演奏をすることに成功するのです。
ニーマンとフレッチャーの音楽の世界は、狂っていて、異様なものに見えます。
音楽の世界の恐ろしさを垣間見てしまったように感じました。
しかし、これは誰にでも共感できる世界なのではないでしょうか。
学校においても会社においても、このような師弟関係や上下関係は多少なりとも必ず存在するものです。
恐いし理不尽なところがあるけど認めてしまう上司や先生っているものですよね。
だからこそ、この作品は見る人の心に響き、主人公に共感して、どんどん引き込まれていくのではないでしょうか。
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映画「セッション」の評価:見ごたえのある二人の強烈な演技
加えて、J・Kシモンズとマイルズ・テラーの気迫ある演技のぶつかり合い。
これは見ごたえのある演技でしたね。
どちらも役もこの俳優2人だからこそ、ここまでの完成度に仕上がったのだと思います。
教官と生徒の1対1のストーリーなので登場人物は極端に少なく、ほとんどこの二人だけ。
二人の熱演は、もちろんの事、マイルズ・テラーが実際に演奏しているパワフルなドラマの演奏にも圧倒されます。
エゴイスティックな教官フレッチャーの狂気と、また同じくエゴイスティックなニーマンが、最後の演奏シーンで、セッションを!
この映画「セッション」の魅力は、ラストのセッションにもあると思います。
世界中から高い評価を得ることになった「セッション」。
「セッション」と言うタイトルは、日本の題名だけど、この「セッション」と言うタイトルをつけたのには、感心しました。
まさに、「セッション!!」です。
鳥肌が立ちそうな「セッション」でした。
魂のぶつかりあい!と言ってもいいでしょう。
今までに見たことがないような、見どころが詰まったとても濃い作品です。
・・・ひとつ、個人的に後悔するとしたら、この映画を映画館で見なかった事です。
ああ、この映画「セッション」、映画館の大きなスクリーンで見るべきでした!
映画「セッション」の評価:音楽性への批判
それから、この映画「セッション」を批判されているジャズの専門家もおられます。
「あの演奏にはグルーヴがない」などなど。
(参考:グルーヴって、ノリと言うか、リズムが揺れていて、尚かつ心地よい状態です。)
私は、ジャズは大好き!ごく一般的なジャズファン。
でもジャズの演奏かでもなくジャズの専門家クラスでもないです。
映画「セッション」の演奏を聴いて、正直、グルーヴがあるか?グルーヴがないか?分からない。
ジャズの演奏家で、ジャズの専門家で「あの演奏にはグルーヴがない」と実際に感じられたのなら、それは正直な感想なので、それはそれでいい。
でも、たぶんそう言う専門家は、100人の中で、2〜3人くらいの少数の特別な人だと思います。(あくまで、この数字は、想像ですが。)
でも、そんな特別な、ジャズの演奏家やジャズの専門家でなくて、映画「セッション」を見て、「セッション」の中の演奏に感動したなら、あまり、音楽性に敏感になることはないと思います。
まして、まだ映画「セッション」を見ていない方で、ジャズの演奏家やジャズの専門家でない方は、音楽性の敏感な批評は、無視して、まずは、映画を見てほしいと思います。
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