「イミテーションゲーム」の中で描かれる天才
「グッド・ウィル・ハンティング」「ビューティフルマインド」「スティーブ・ジョブズ」など、天才の苦悩を描いた映画は、結構たくさんあります。
そのテーマの多くが、“天才は幸せか?不幸か?”というものです。
「イミテーションゲーム」も、主人公のアラン・チューリングは、ずば抜けた知能と才能を持った天才です。
しかし、天才である故に感じる孤独感や疎外感、そして、同性愛者であるという苦悩も加わり、彼の人生は悲劇的なものになるのです。
この作品では、彼の少年時代、第二次世界大戦中、第二次世界大戦後の姿が描かれていきます。
その時系列は複雑で、まるでゲームのような構造にもなっています。
彼の色々な面が少しずつ明るみになっていくのです。
観客は、このゲームを楽しみながら、どんどん彼の姿に引き込まれていきます。
スポンサーリンク
少年時代の天才アラン・チューリング
少年時代から、普通の子どもとは違っていたアランは、いじめを受けていました。
しかし、唯一彼を理解してくれる友達がいました。
クリストファーです。
やがて二人は、“暗号”という共通の興味を通して、より一層関係を深めていきます。
しかし、ある日突然、アランの前からクリストファーが姿を消します。
そして、アランは、実はクリストファーは結核を患っており、亡くなったという衝撃の事実を聞かされます。
分かり合えていたはずの友人が、この重大な秘密を隠していたことに、少年アランは戸惑い、深く傷つきます。
この経験より、アランは一層孤独な道を進むことになるのです。
スポンサーリンク
第二次世界大戦中の天才アラン・チューニング
天才数学者となったアランは、イギリス政府から、敵国ドイツの暗号エニグマの解読をするためのチームに招集されます。
協調性がなく、自信過剰な孤高の天才アランは、他の同僚と協力することなく、自分勝手の方法で解読に挑みます。
しかし、よき理解者となる女性ジョーン・クラークの出会いにより、ライバル視していた同僚たちとも、次第に打ち解けはじめます。
周りの同僚たちもアランの才能を認めはじめ、やがてチーム一丸となり、エニグマ解読という難関に立ち向かっていきます。
そして、ついにその解読に成功し、チームは歓喜に包まれます。
しかし、ここからまた新たな天才の苦悩がはじまるのです。
それは、エニグマ暗号解読後に、アランが下した決断にありました。
アランは、エニグマを解読したことをドイツ軍に知られてしまったら、ドイツ軍はすぐにまた新たな暗号を作り出してしまうと考えたのです。
そこで、アランはエニグマを解読したことを悟られないようにしながら、戦争を終わらせようと考えたのです。
これにより、イギリス軍が勝利を収めることになるのですが、それまでには多くのイギリス軍が犠牲になってしまったのです。
この決断が果たして正しいものだったのか、彼は戦争が終わった後も悩み続けます。
第二次世界大戦後の天才アラン・チューリング
第二次世界大戦に勝利したイギリスですが、エニグマ暗号解読の事実は隠されることになります。
アラン達の功績が全てなかったことにされてしまうのです。
自分は、戦争を終わらせた英雄なのか?多くの人を犠牲にした殺人者なのか?
彼は悩み続けていました。
さらに、同性愛者であることが露呈されてしまい、ホルモン注射による辛い治療を余儀なくされてしまいます。
これにより、以前のような思考ができなくなり、ついには自殺という道を選んでしまうのです。
偉業を成し遂げながらも、その功績を残すこともできないばかりか、悲劇的な人生を終えたアラン・チューリング。
この映画を通して、多くの人の心に残る人物になることでしょう。
関連記事はこちらです♪
スポンサーリンク