「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のラストについて考える
世界中から高い評価を受けた映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」。
最初にこの作品を知った時は、初代バットマンのマイケル・キートンが演じるブラックコメディ“バードマン”ということで、まさかパロディ的なおもしろ映画かな?なんて思いました。
しかし、実際に映画を見てみると、マイケル・キートンの気迫の演技と内容の深さに、圧倒されました。
見終わった後も数日頭から離れませんでした。
一番頭から離れなかったのが、やはりこの衝撃のラストシーンです。
<-----ここからネタバレ記事----->
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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のラストを考える:衝撃のラストに向けて!
物語の終盤、衝撃なラストへと向かい始めます。
マイケル・キートン演じる主人公リーガンは、本番の舞台の中で、本物の実弾入りの拳銃を持ち、自分の頭を撃ちぬきます!!
そこで、映画の冒頭から続いていた超ロングショットがバッサリ終わります。
そして、ガラリと場面が変わり、病室のシーンが始まります。
この演出に、あれ?と思いました。
何かありそうで、奇妙で、不安な感じがして、緊張感が高まりました。
そして、ここから、衝撃的な問題のラストシーンが始まります。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のラストを考える:病院での問題のラストシーン
頭を撃ったはずが、鼻を吹き飛ばしたリーガンは、奇跡的に一命を取り留めていたのです。
リーガンは、鏡で鼻に巻かれた包帯を見ます。
それは、まるでバードマンのマスクのように見えました。
彼はその包帯を外してバードマンに別れを告げます。
そして、エマ・ストーン演じるリーガンの娘、サマンサが病室を離れた隙を狙って、リーガンは病室の窓から飛び立つのです。
病室に戻って来た娘サマンサはすぐにリーガンの姿を探して窓の下を見るのですが、そこにはリーガンの姿はありません。
サマンサは空を見上げて微笑むのでした。
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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のラストを考える:ラストの解釈
エマ・ストーン演じる娘のサマンサが、目を見開いて空の何かを見上げるシーン。
このシーンは、とても意味深です。
このラストには、色々な解釈が考えられます。
まずは、リーガンは本当に超能力を持っていたという解釈です。
幻聴や幻覚は全て本当に起きていることで、リーガンはスーパーパワーを持った人間だったのです。
物語の流れのままに、鼻を負傷しただけで助かったリーガンは、過去の栄光であるバードマンに別れと告げて、全てから解放されて、本当のバードマンとして空へと飛び立っていったのです。
ラストシーンで娘は空を見上げて微笑むのですが、その先には本当に空を飛ぶリーガンの姿があったのです。
鳥になって空を舞っているのか?人間を超えた何かになったのか?
この作品は、あくまでもブラックコメディということなので、このような解釈もできなくはないのですが・・・。
次に考えられるのは、頭ではなく鼻を撃ち、命は助かったものの、やはり精神が崩壊してしまい、病室の窓から飛び降りて死んでしまったという解釈です。
薬物依存症である娘には、病院の窓から下に落ちたリーガンの姿が見えずに、空を飛んでいる幻覚が見えていたということです。
この可能性もあるかもしれません。
やはり、一番自然な解釈は、舞台上で頭を吹き飛ばした瞬間に、リーガンは死んでしまったという解釈ではないでしょうか。
冒頭から続いていたロングショットは、このシーンで途切れたのは、まさにリーガンの命が途切れたことの象徴ではないでしょうか。
その後の病室のシーンは、リーガンが死後に見た自分が望んだラストだったのでしょう。
多くのファンがリーガンの復帰を願っているシーンが流れますが、これは本当はリーガンの死を悼んでいるのだと思います。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のラストを考える:娘サムの表情
そして、この解釈の中で気になるところが、リーガンにとって、このラストは幸せなものだったの、そうではなかったのかということです。
舞台上で自殺した彼は、本当に全ての苦悩から解放されて飛び立つことができたのでしょうか?
その答えは、リーガンの娘サマンサの最後の表情にあるように思います。
サマンサは、薬物依存症でラリっているのですが、実はどの登場人物よりも、真実が見えていたように思います。
彼女が微笑んだことにより、全てが前向きに終われたような気がします。
それ以外の描写をすることなく、敢えてこの笑顔だけで締めくくったところに、監督のセンスが光っていると思います。
スッキリしなくて嫌だという方も多いと思いますが、私はこれがベストの終わり方だったと思いますね。
エマ・ストーンのこの最後の微笑みが余韻を残し、最後のシーンの解釈についても、もやもやを残し、たぶん見る人それぞれの解釈があると思います。
それだけ、この映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は、考えさせられる映画でした。
そして、最後に思ったのは、娘サムを演じたエマ・ストーンは、やはりすばらしい女優だな〜と思いました。
この微笑み・・・台本には、「黙って空を見上げてほほえむ」と書いてあったかもしれません。
あとは、どんな表情で、どんな目で、どんな風に微笑むか?この演技は演じる俳優や女優さんにかかっています。
エマ・ストーンのこの微笑みは、この映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を締めくくるのに、すばらしかったと思います。
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