映画「メッセージ」を見た私の感想と評価
映画「メッセージ」は、とても深い映画でした。
どんでん返しとも言えるストーリーに、最初は気がつかず、気付いてからは、しみじみ考えさせる映画になりました。
もっとSF要素が強い作品だと思っていたのですが、予想外の展開に目が離せなくなりました。
映画「メッセージ」は、アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、録音賞、撮影賞、編集賞、美術賞にノミネートされました。そして音響編集賞を受賞しました。
映像と音楽もすばらしかったです。
総合的に見てとても完成度の高い作品であることが分かります。
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映画「メッセージ」の感想:宇宙船やエイリアンの姿にこだわりが。
映画「メッセージ」はテッド・チャンの短編「あなたの人生の物語」を映画化した作品です。
SF作品として最高傑作とされていて、映像化は非常に難しいと言われていました。
そんな原作を見事に映像化したのは、「ブレードランナー2049」も監督しているドゥニ・ヴィルヌーヴ監督です。
監督が最もこだわったのは宇宙船です。
日本では、おなじみのお菓子の形と似ているということで話題になりましたね。
監督が来日した時のインタビューの中でも、このお菓子の話題が出ていました。
「誰も見たことのない形を生み出したもりだったのに、日本ではみんなが知っている形だったなんてね」と笑っていました。
また、監督は敢えて宇宙船の中を詳しく見せないようにしました。
ミステリーのままにしておいた方が効果的だと考えたのです。
確かに、宇宙船は何となくのイメージしかわからないのでとても神秘的でした。
エイリアンの姿も良かったですね。
監督は、エイリアンを描くにあたり、人間的な要素が一切ないようにしました。
そしてクジラのような圧倒的な存在感と現実を超越したイメージを持ったエイリアンを作りました。
「メッセージ」で描かれる宇宙船やエイリアン、そしてエイリアンの放つ言葉など、とてもアート的な美しさがありました。
エイリアンというと、グロテスクだったり恐ろしかったりするものが多いですが、この作品のエイリアンはちょっと違いました。
恐ろしさというよりも、美しさ温かさも感じられる不思議な雰囲気がありました。
映画「メッセージ」の感想と評価:自分自身と向き合う物語
「メッセージ」の凄いところは、はじめは宇宙人による地球侵略という壮大な話題から始まるのですが、最終的にルイーズが自分と向き合うという物語に着地するところです。
そしてルイーズが自分と向き合うことが出来たから、その結果として世界が救われるという、実に面白い展開です。
そのストーリー展開が無理やりな感じがなくきれいに流れていきました。
これは監督のセンスの良さですね。
映画「メッセージ」の感想と評価:ルイーズの娘との描写の巧さ
ルイーズは、今は独り身のような設定なのですが、冒頭からずっと娘とのシーンが途切れ途切れ入ってきます。
どうやら娘は病気をしてしまい亡くなってしまったということがわかります。
私は、この映像を過去のものと思って観ていました。
子どもを亡くした辛い過去を持った女性としてルイーズを見ていました。
しかし、この映像はなんと未来のものだったのです。
そして、その娘の父親であり、ルイーズの夫は、エイリアン対策のためのミッションで出会った物理学者イアンだったのです。
すぐに未来のビジョンであると気が付いた方もいらっしゃったと思いますが、私はすっかり騙されていました。
エイミー・アダムスの微妙な表情の演技がとても上手かったですね。
一緒にこの映画を見た私の夫は、最後まで、未来のビジョンではなく過去の子供だと思ったままでした(笑)
私は、このどんでん返しと言える展開がとても面白かったです。
予想していなかった展開でした。
このどんでん返しに気付いてから、どてもこの映画は深い映画だと思いました。
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映画「メッセージ」の感想と評価:ルイーズの決断
ルイーズは、ヘプタポッドの言語を習得したことで、彼らと同じように、過去、現在、未来という時間に縛られないで未来の情報へもアプローチできるようになったのです。
日本語を話す人が日本人らしくなるように、話す言語によって、その人の価値観や考え方が決まるという概念ですね。
これにより、ルイーズは自分の未来を見ることができました。
しかし、それはとても悲しい未来だったのです。
イアンと幸せな結婚をして、とてもかわいい娘が生まれるのですが、病気になってしまい亡くなってしまいます。
そして未来では、イアンとも別れることになっています。
その悲しい未来が待ち受けていることを知りながら、ルイーズは、イアンのプロポーズを受けて、娘を生むことを決断します。
初めに「メッセージ」を観た時には、このルイーズが未来を受け入れるという心理がいまいち理解できていませんでした。
女性として子供を生みたいという気持ちが強いのか、少しでも娘に幸せな時間を過ごさせてあげたいと思っているのかと思っていました。
しかし、二回目に鑑賞した時には、ルイーズは、ヘポタポッドの価値観を得たことで、過去、現在、未来の概念はなくなっているということがわかってきました。
そのため、最終的にどうなるかではなく、全ての時間をひっくるめて楽しむのが人生であると悟ったのだと思います。
娘の死、夫との別れという悲しい出来事はありますが、同時に家族でとても幸せな時間を過ごす未来も存在しているのです。
辛い過去も現在も未来も、そして幸せな過去も現在も未来も、全てが彼女の人生ということなのだと思います。
このような非常に複雑な心理を見事に演じ切ったエミリー・アダムスは本当に凄いですね。
エミリー・アダムスは、出る作品ごとにどんどん演技の幅が広がっていっていると思います。
映画「メッセージ」の感想と評価:ヨハン・ヨハンソンの音楽が素晴らしい
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品の「プリズナーズ」、「ボーダーライン」でも音楽を担当しているヨハン・ヨハンソンです。
ヨハン・ヨハンソンの音楽が、ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品の雰囲気を左右していると言っても過言ではありません。
アイスランド出身の作曲家で、アイスランドを拠点に音楽活動をしながら、映画音楽も手掛けています。
電子音とクラシック音楽を融合させた独特な楽曲が彼の音楽の特徴です。
この独特なサウンドが、劇中でも効果的に使われています。
ヘプタポッドのテーマ曲である「異星言語ヘプタポッドB」は、この斬新な音楽が、エイリアンのイメージととても良くマッチしています。
神秘的、そして不穏な雰囲気の漂う音楽が、物語を一層盛り上げています。
やはり映画における音楽の力は大きいですね。
物語の素晴らしさもありますが、映像と音楽の素晴らしさも「メッセージ」の完成度を高めていました。
色々な角度からとても味わい深い作品だと思います。
また、時間の概念についてなど、観る人によって、色々な解釈がある作品だと思います。
SF娯楽作品だと思って観たら、人生について考えさせられる、本当に深い作品でした。
では、次は、主演のジェレミー・レナーについて見てみましょう!
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