「ゼロ・グラビティ」のスタッフが贈るサバイバルサスペンス映画「ノー・エスケープ 自由への国境」。
2017年日本公開のメキシコとフランスによる合作映画です。原題はDESIERTO。
メキシコからアメリカへ密入国しようとする人々。
謎の敵から襲撃を受けて、水も武器もない状況で逃げ場を失います。
広大に広がる砂漠の中で逃亡する彼らの緊迫の姿を描きます。
主演は「バベル」のガエル・ガルシア・ベルナルです。
映画「ノーエスケープ 自由への国境」のあらすじ:ストーリー メキシコからの不法入国者たち
アメリカとメキシコの国境付近を走る1台のトラック。
その中には14人のメキシコ人が乗っていました。
彼らはアメリカに不法入国しようとしていたのです。
その中のセイモスという男がいました。
砂漠の真ん中で車がエンストしてしまうのですが、不法入国がバレてしまうためレッカー車を呼ぶこともできません。
そこで仲介人は移民たちを歩いて国境まで連れて行くことにします。
「密輸、不法侵入多発区域」という看板のあるフェンスをくぐって移民たちは、アメリカに入国しました。
映画「ノーエスケープ 自由への国境」のあらすじ:不法侵入者を嫌う男サム
国境周辺に住むサムという男は、愛犬トラッカーとともに密入国者を銃殺していました。
国境警備員に密入国者がいたと報告しても全く取り合ってもらえないため、自分自身の手で不法に入国してくる者とを始末していたのです。
アメリカに入国したメキシコ人たちは、徐々に体力を失っていきます。
遅れをとる者がでてきて、セイモスたち5人は先を歩くグループから離れてしまいました。すると先のグループの人々が何者かによって狙撃されました。セイモスたちはその姿を見て急いで隠れます。
狙撃をしたのはサムでした。サムは愛犬トラッカーとともにセイモスたちを追い詰めます。愛犬トラッカーの攻撃とサムの銃により次々とメキシコ人たちが殺されていきます。生き残ったのはセイモスと若い女性アデラだけになりました。
日が沈みかけ、サムは「どうせ遠くへは行けない」と言って帰っていきました。
「ノーエスケープ 自由への国境」のあらすじ:セイモスとアデラの逃走
セイモスとアデラはその夜、お互いの話をします。
アデラは両親が危険な故郷の街から逃がすために、偽装結婚をさせてアメリカに不法入国させようとしたと話します。
セイモスは妻と息子とアメリカに住んでいたのですが、自分だけメキシコに送還されていたのでした。妻と息子に会うためにアメリカを目指していました。
翌朝、セイモスとアデラは車を盗んで逃走しようと試みます。
しかし再びサムに襲撃され車は横転、二人はなんとか脱出しますが、アデラは腕を撃たれていました。
セイモスはアデラの手当をして水を渡すと、そこで待つように言い立ち去ります。
<------ここからネタバレ記事あり------>
「ノーエスケープ 自由への国境」のあらすじ:セイモスとサムの戦い
アデラの場所から離れた場所で、セイモスは信号銃を放ちます。
アデラが見つからないために自分がおとりになろうとしたのです。
セイモスはサムの愛犬トラッカーを殺し、サムの怒りはさらに強くなります。
セイモスはサムに近づき背後から襲います。ついに直接対決する二人。
セイモスはサムから銃を奪います。するとサムは急に態度を変えて命乞いをします。
「悪かった」「撃たないでくれ」「見捨てないでくれ」と弱々しく叫びます。
セイモスは砂漠の真ん中にサムを残して立ち去ります。
アデラのところに戻ると、彼女はすっかり衰弱していました。
セイモスはアデラを背中に背負い広い砂漠を歩きます。
遠くにハイウェーの灯りが見えてきました。
<------ここまでネタバレ記事------>
「ノー・エスケープ 自由への国境」の感想
大好きなガエル・ガルシア・ベルナル主演ということで、少しだけ期待して鑑賞しました。
予想はしていましたが、なかなか斬新な内容でした。
賛否両論がある作品だと思います。
率直に言うと、私は否の方かな・・・。
「ノー・エスケープ 自由への国境」の感想:シンプルな内容
メキシコの不法侵入をテーマとして映画ということで、政治色が強い映画か、もしくは麻薬カルテル系の犯罪サスペンス映画かと思って観ていました。
しかしそのような要素は全く出てきませんでした。
まず、それが期待していただけにがっかりでした。
「アメリカに入国したいメキシコ人」と「不法入国するメキシコ人を嫌うアメリカ人」のシンプルすぎる戦いでした。
主人公のセイモスとアデラだけは生い立ちが語られたり、ある程度どんなキャラクターなのか描かれていました。
しかしそれ以外の登場人物については、ほぼ説明がありません。
サムがどうしてここまでメキシコ人を憎むのかということさえ、明確には語られていません。
淡々と話が進み、淡々と殺されていくのです。
全くストーリーがない!
登場人物の気持ちがわからない!と思う方も当然いると思います。
しかし、私は結構この雰囲気が嫌いではありませんでしたが・・・。
ただただ逃走する人と、彼らを狙う男。この普通の映画にはないシンプルさがなかなか面白かったです。
やはり、ストーリーがなさすぎ。
「ノー・エスケープ 自由への国境」の感想:砂漠の恐怖がわかりにくかった
それから、とても残念に思ったことは、砂漠の恐怖がいまいちわからなかったことです。
なんと50℃という暑さ。
また、岩と砂だらけという足場の悪さ、大量の蛇などの野生動物の恐さなど、砂漠の恐ろしさが描かれているのですが、実際に砂漠を体験したことのない私にはそれほどこの過酷さが理解できませんでした。
砂漠の恐怖を知る人が見ればもっと恐怖が伝わってきたのでしょうが。
この砂漠の恐怖が、ぴんと来なかったので、この映画の恐怖感が実感できなかったです。
「ノー・エスケープ 自由への国境」の感想:ガエル・ガルシア・ベルナルVSジェフリー・ディーン・モーガン
本作はメキシコとフランス合作映画ということもあり、特別有名なハリウッドのスター俳優は出ていません。
しかし、主人公セイモスを演じたガエル・ガルシア・ベルナルと、謎の怒れる男サムを演じたジェフリー・ディーン・モーガンは非常にかっこよかったですね。
ガエル・ガルシア・ベルナルはメキシコ俳優です。
ブラット・ピット主演の「バベル」(2006年)など、ハリウッド映画でも活躍する人気俳優です。
しかし、ガエル・ガルシア・ベルナルはやはりメキシコ映画の方がしっくりくる気がします。
彼の独特の空気感がメキシコ映画の雰囲気とマッチしていると思います。
初めは、ガエル・ガルシア・ベルナル目当てで鑑賞したのですが、インパクトのあるサムの方に目がいってしまいました。
ああ!ウォーキング・デッドのニーガンです。
アメリカドラマでおなじみの俳優ジェフリー・ディーン・モーガン、「ウォーキング・デッド」「グッド・ワイフ」「スーパーナチュラル」「グレイス・アナトミー 恋の解剖学」など多くのドラマに出演しています。
「グレイス・アナトミー 恋の解剖学」のイジー・スティーブンスの恋人デニー・デュケット役も印象的でした。
医師であるイジ―は患者であるデニーに恋をしてしまいます。
二人は結ばれるのですが、デニーは息を引き取ってしまうのでした。
デニーはとてもかっこよく温かい理想的な男性でした。
でもジェフリー・ディーン・モーガンは、やはり「ウォーキング・デッド」のニーガンの役が頭から離れません。
「ウォーキング・デッド」のニーガンのキャラクターは、強烈すぎます。
映画「ノーエスケープ 自由への国境」では、ジェフリー・ディーン・モーガンの幅の広い演技力を知ることができました。
とにかくメキシコ人の不法入国を許さない謎の男サムを怪演していました。
この2人の俳優のぶつかり合いが見ることができただけでお得な気分になれる映画でしたね。
「ノー・エスケープ 自由への国境」の感想:不法入国という問題について
この映画は、不法入国を問題とした社会派映画という感じではありませんでした。
2人の男の恐ろしい追いかけっこを描いたエンターテイメントです。
軽い気持ちで見れる映画だと思います。
しかし、このような不要入国が実際に日々起きていることは事実です。
そのことを考えると、やはりとても恐怖を感じました。
今この瞬間もこの映画の中のようなことが起きていても不思議ではないのです。不要入国ということについて見方が変わる作品でした。
非常に賛否両論あるタイプの映画だと思います。
全く面白くないという方もいれば、傑作だと思う方もいると思います。
重いテーマを扱ってはいますが、難しく考えずに軽い気持ちで見れる映画ですね。
でも、やっぱりもう少しストーリーがほしかった。
途中で、麻薬を扱うマフォアとか、ギャングとか、警察とかが出て来て盛り上がるのか?と思っていたら終わってしまいました。
監督は、このストーリーのなさに重きを置いていたのでしょうか?
もし主役がガエル・ガルシア・ベルナルでなくて、またジェフリー・ディーン・モーガンも出ていなかったら、賛否両論あるとしたら、私は「否」でしょうね。
では、次にガエル・ガルシア・ベルナルのおすすめ3作品を紹介しましょう!
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