コーエン兄弟おすすめ作品3作!
「サバービコン 仮面を被った街」を観て、やはりコーエン兄弟の作品は面白いなと思いました。
コーエン兄弟の作品は、いくつも観ました。
どれも面白いので、順位をつけるとは、とても難しいのですが、私のコーエン兄弟作品ベスト3をご紹介したいと思います。
コーエン兄弟おすすめ作品3作!:第3位「ビッグ・リボウスキ」
コーエン兄弟の作品3作の中での第3位は、「ビッグ・リボウスキ」です。
「ビッグ・リボウスキ」は1998年のアメリカ映画です。原題はThe Big Lebowski。
同姓同名という偶然によりある事件に巻き込まれていく主人公をブラックユーモアたっぷりに描いた傑作です。
ジェフ・ブリッジス、ジョン・グッドマン、スティーブ・ブシェミのトリオが織りなす、くだらなくも愛おしい人間ドラマが最高です。
コーエン兄弟を語る上で外せない作品ですね。
私の個人的な評価は100点中85点です。
コーエン兄弟おすすめ作品3作の第3位:「ビッグ・リボウスキ」のあらすじ
主人公のジュード(本名リボウスキ)は、同姓同名の大富豪リボウスキに間違われて、謎の男たちに襲われます。そしてお気に入りの敷物を汚されてしまいます。男たちは、ポルノ映画プロデューサーのトリホーンの手下たちでした。
ジュードはボウリング仲間のウォルターとドニーにこの話をします。ウォルターはベトナム戦争の退役軍人、ドニーは気弱なサーファーです。
ジュードは大富豪リボウスキの屋敷に行き、汚された敷物を弁償してほしいと訴えますが、相手にされません。仕方なくジュードは屋敷にあった敷物を盗んで帰ります。
その後、ジュードはリボウスキから連絡を受けます。妻バニーが誘拐されたので、ジュードに身代金の引き渡しをしてほしいというのです。トリホーンの手下たちの顔を見ているジュードに頼みたいというのです。
ジュードは身代金100万ドルの入ったブリーフケースを渡されます。
計画を実行しようとするジュードの前に、下着を詰めたブリーフケースを持ったウォルターが現れます。ウォルターは100万ドルのブリーフケースとこの下着のブリーフケースをすり替えてしまおうというのです。誘拐犯に下着のブリーフケースを渡し、100万ドルは自分達で盗んで逃げようという無謀な計画を持ち掛けてきたのです。
しかし誘拐犯との交渉は失敗。ジュードとウォルターはボウリング場で次の計画を考えます。ウォルターはバニーが金ほしさにわざと誘拐されたフリをしているのではないかと言います。
ボウリング場を出ると、100万ドルを積んでいた車が消えていました。途方に暮れるジュードは、リボウスキの娘モードから呼び出されます。
モードは母の遺産から父が勝手に100万ドルを引き出したことに激怒していました。モードも誘拐事件はバニーの狂言だと思っています。そしてジュードにこの100万ドルを取り戻すように依頼します。
次にジュードはリボウスキにも呼び出されます。誘拐犯は妻バニーの指を送りつけてきたとご立腹です。ちゃんと身代金を渡したのか聞かれ、渡したと嘘をつきます。
ジュードが家に帰ると、警察から盗まれた車が見つかったと連絡が入ります。安堵していると、今度は3人の強盗が家にやってきて金を出すように要求します。
その後ジュードは車を受け取りに行くのですが、100万ドルの入ったブリーフケースはどこにもありません。その後、手がかりをもとに100万ドルを探しますが見つけることはできません。そして、もともとブリーフケースにはお金が入っていなかったのではないかと疑います。リボウスキは妻を消そうと思っていたのではないかと考えます。それを問いただすためにリボウスキの家に行くと、バニーが戻っていました。
消えたブリーフケースの行方は分からないままに、ジュードは日常を取り戻し、3人でボウリングを楽しんでいました。しかし、ボウリング場を出ると、以前にジュードを襲った3人の男たちが車に火を放っていました。元軍人のウォルターは果敢に戦うのですが、ドニーは不運にも撃たれて死んでしまいます。
ジュードとウォルターはドニーの遺灰を海に撒いて別れを告げるのでした。
コーエン兄弟おすすめ作品3作の第3位:「ビッグ・リボウスキ」の感想
今でも熱狂的なファンがいる作品です。
コーエン兄弟の中で一番面白いという方はもちろん、今まで観た映画の中で一番面白いという方もいるほどの作品です。
正直私は、そこまでのファンではありませんが、大好きな作品の1つです。
平凡な主人公が偶然ある事件に巻き込まれていく系の物語です。
ドタバタコメディによくあるパターンですが、この作品はちょっと違います。
ジュードを中心に色々な事件が勃発するのですが、犯人捜しや事件解決が目的の物語ではありません。
ただその時の出来事を映し出しているだけなのです。
ミステリー作品としてみたら物足りなさがあるかもしれません。
しかし、この作品は事件を追うよりも、人間同士のやり取りの方が面白いので、観客はどんどん引き込まれていくのです。
とにかくキャラクターの濃さが最高です。
ジェフ・ブリッジス演じる主人公のジュードは、本当にただのだらしない中年男です。
見た目も性格も、どこをとっても魅力を感じるところはありません。
しかし、なぜか憎めないのです。
これはジェフ・ブリッジスの演技力と監督の演出の上手さですね。
はじめはぐーたらな主人公も事件に巻き込まれていくうちに、正義感や使命感が生まれてくる、という流れがお決まりですが、ジュードにはそんなことはありません。
ジュードはただ汚された敷物を弁償してほしいだけなのです。
それ以上の欲も正義もありません。これが面白いキャラクターでした。
そしてジュード以上にインパクトがあったのが、ウォルターです。
ベトナム戦争退役軍人の彼は、全てのことをベトナム戦争に無理やり置き換えてしまいます。
そしてとても気が短く、すぐに相手に銃を突きつけます。
とにかく面倒くさくて、事件を解決するどころかどんどん複雑にしてしまうのです。
これをわかっていても、結局ウォルターを頼ってしまうジュードも可愛いのですが。
また、この二人のキャラクターを通して当時のアメリカを風刺しているところも感じられます。
ジュードは元ヒッピー、ウォルターは元ベトナム戦争の兵士です。
いわば時代に取り残された人たちであり、これは当時のアメリカに溢れていた人たちだったのでしょう。
もっと当時のアメリカを知っているとさらに感じるものがあったのかもしれません。
この作品は一度観ただけではわかりづらいところも結構あります。
逆に言うと二度、三度と観るうちに、新しい発見があるのです。
事件の伏線が見えたり、笑える部分が理解できたりします。
そして単純にジュードとウォルターコンビの会話は何度観ても面白い!おすすめのコーエン兄弟作品です。
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コーエン兄弟おすすめ作品3作!:第2位「ノーカントリー」
コーエン兄弟のおすすめ作品第2位は「ノーカントリー」です。
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2007年のアメリカ映画で原題はNo Country for Old Menです。
ある麻薬取引に関わるアメリカとメキシコのマフィアが戦いを繰り広げます。
アカデミー賞作品賞をはじめ4部門で受賞するなど非常に高い評価を得ました。
私の個人的な評価は100点中88点です。
コーエン兄弟おすすめ作品3作の第2位:「ノーカントリー」のあらすじ
舞台は1980年のアメリカ・テキサス州西部。
ベトナム帰還兵であるモスは、ある場所で無数の死体を見つけます。さらに麻薬らしきものあり、麻薬取引が決裂したことで激しい撃ち合いがあったようだと考えました。1人だけ生き残っていながらも重症を負っているメキシコ人を見つけますが、助けませんでした。
モスは、札束が大量に入ったブリーフケースを見つけ、自宅に持ち帰ってしまうのでした。しかし、やはり生き残っていたメキシコ人の様子が気になり、モスは現場に戻ります。するとそこにはギャングの姿が。すぐに逃走するモスですが、追ってきた者から肩を撃たれてしまいます。危険を感じたモスは、妻のカーラを実家のあるメキシコに帰すことにします。そしてモス自身はモーテルに潜伏します。
保安官のベルはこの麻薬取引が引き起こした殺人事件を追っていました。
アメリカ側のギャングは取引の現金を取り戻すために最強の殺し屋シガーを雇いました。シガーはモスの行方を追うことになります。モスの盗んだブリーフケースには、発信機が仕込まれているため、シガーはその発信を手掛かりにモスの居場所を突き止めます。
また、この麻薬取引で現金を失ったメキシコ側のマフィアも現金を狙っていました。
モスの居場所を確認したシガーでしたが、同じくモスを狙うメキシコのマフィアと対立します。その間にモスは逃走、次の計画を立てます。
シガーは発信機を利用して、シガーを引き付けておきながら、一撃を与えようとします。入口で銃を構えて待つモス。しかし、結局二人は撃ち合いになってしまいます。逃げのびたモスは、メキシコの病院で手当てを受けます。そこへ、商品稼ぎのウェルズという男がやってきます。現金を渡せば危険なことを保証するといのです。しかし、ウェルズは、シガーによってすぐに殺害されてしまいます。
モスはカーラに電話をして、エルパソにモーテルで会おうと言います。しかしモスは何者かに殺されてしまいます。
そしてカーラの前にシガーが現れます。シガーがコインの裏か表かで、カーラを殺すか否かを決めると言います。カーラに表か裏か答えるように言いますが、カーラは拒否し、そのままま殺されてしまいます。
その後、シガーの乗った車が、ある車から激突され、シガーは重症を負います。
ベル保安官は、妻に昨日の夜見た夢の話をします。それは父親との夢でした。この場面で物語は終わるのでした。
コーエン兄弟おすすめ作品3作の第2位:「ノーカントリー」の感想
コーエン兄弟のコメディはブラックな部分が非常に多いのですが、「ノーカントリー」はほとんどコメディな部分がなかったように思います。
重い、怖い、息苦しい、そんな作品です。
クスリと笑えるシーンはあまり出てきません。
この物語の中心はベル保安官でも、モスでもなく、シガーではないでしょうか。
妙なおかっぱ頭と獲物を狙うような目に異常な恐ろしさを感じます。
手錠をかけられた状態で相手を殺すことができる怪力、技も持っています。
そして狙ったターゲットは容赦なく殺す、最強の殺し屋です。
しかしシガーは「悪人」ではありません。「悪」なのです。
シガーは自分の気持ちで動いているわけではなく、殺しのルールに従っているだけです。
情に流されるなどということはありません。
この人間味のないところに絶対的な悪を感じますね。
狙われたら最後、抵抗することはできません。
また、カーラを殺害する時に、コイントスをして殺害するか否かを決めるというシーンがありました。
つまり死ぬか生きるかは運次第ということなのです。
シガーという人間を通して、本当の悪を描いているのだと思います。
絶対的な悪の前には、人間はなすすべがない、ただ運命に身を任せるしかないということなのではないでしょうか。
シガーは犯罪者などの悪人というよりも、死神に近い存在でした。
そしてこの死神のような殺し屋を演じたハビエル・バルデムの怪演がただただ凄かったです。
「夜になるまえに」(2000年)、「空を飛ぶ夢」(2004年)と演技派俳優として評価されていました。
私も大好きな俳優だったのですが、この恐ろしいシガー役は引いてしまうほど圧倒されました。ものすごい俳優だと思います。
この作品でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞で助演男優賞を受賞しました。
この作品は、観客に答えを託す部分が多かったですね。
まずカーラの死についてですが、明確に誰が殺したのかは描いていません。
カーラが死んだ部屋から血のついた靴を履いたシガーが出てきます。
この描写により、シガーがカーラを殺したと理解して間違いないでしょう。
また、色々と奮闘したモスですが、わりとあっさり殺害されてしまいます。
これも特に映像としてはありません。
おそらく、シガーが現れて殺害したのだと思います。
このように、観客にとってわかりにくい部分もたくさんありました。
そのため、わかりにくい、退屈、つまらないという感想をお持ちの方もいうのでしょう。
一方、色々な解釈を楽しむのが好きな方、観終わった後に語れる映画が数好きな方にはたまらない作品ではないでしょうか。
コーエン兄弟のブラックな部分が全面に出ていた傑作です。
何度見ても新しい発見があるはずです。
一度見てよくわからなかったという方は、ぜひもう一度観てみてくださいね。
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コーエン兄弟おすすめ作品3作!:第1位「オー・ブラザー!」
コーエン兄弟作品第1位は「オー・ブラザー!」です。
「オー・ブラザー!」は、2000年のアメリカ映画で原題はO Brother, Where Art Thou?です。
ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」を元に1930年代のアメリカ南部風にアレンジした作品です。
ジョージ・クルーニーが主役を務め、大ヒットを記録しました。コーエン兄弟の代表作です。
南部ののんりびした雰囲気と古き良き時代の音楽が心地良いコメディ作品です。
私の評価は100点中93点です。
コーエン兄弟おすすめ作品3作の第1位:「オー・ブラザー!」のあらすじ
舞台は1930年代のミシシッピー州。
3人の囚人が脱走するところから物語が始まります。
主人公のエヴァレットは、昔、ダム建設予定地に120万ドルを隠していました。
しかし、数日後にダムが完成することを知り、川底に沈んでしまう前に何としても掘り出さなくてはいけないと脱獄を実行したのです。エヴァレットとともに脱獄したのは、ピートとデルマーです。
120万ドルを目指す3人は、盲目の老人から「長くて辛い旅が待っている。そこで美しい風景を見るだろう」と不思議な予言をされます。
デルマーの親戚の家に逃げ込む3人でしたが、すぐに警察にバレてしまい、逃亡します。
森に逃げ込んだところ、バブテスト派の全身浸礼に遭遇し参加します。ビートは自分の罪が清められたと喜びます。
3人は再び逃亡を続けます。そしてギター弾きの黒人男性トミーに出会います。そこで4人は地元のラジオ局へ行き、逃亡の資金を稼ぐために「ずぶ濡れボーイズ」として歌を披露するのでした。4人は出演料をもらうことができました。
そしてこの「ずぶ濡れボーイズ」の歌は街で大ヒットします。レコードになり売り切れるほどの大人気となるのです。3人はそんなことになっているとは全く知りません。
銀行強盗の男に出会ったり、川で歌う謎の美女たちに出会ったり、悪徳商人と出会ったりしながら、3人はエヴァレットの故郷を目指していました。
エヴァレットの地元の街では選挙運動が行われている最中でした。ストークス候補が当選できるか微妙な状況でした。エヴァレットは自分の子供達に会いますが、子供たちから、母親はエヴァレットの罪を恥じており、新しい男性と結婚する予定だと聞きます。
ピートは120万ドルのこと他の人にバラしてしまったと言い、申し訳ないと謝ります。
そこでエヴァレットは真実を明かします。120万ドルなどないというのです。エヴァレットは、妻の再婚を止めるために脱獄したのです。
そこへ森の奥から歌が聞こえてきました。行ってみると、大勢のフリーメイソンのメンバーたちが、大規模な儀式を行っていました。そこでいけにえになろうとしていたのば、なんとギター弾きのトミーでした。3人はフリーメイソンの中に紛れこみ、トミーを助けだしました。
エヴァレットの妻ベニーは結婚を明日に控えていました。そこでエヴァレットは、ペニーのいるストークス候補の集会に侵入しました。ずぶ濡れボーイズとして舞台に立ち、ペニーに再婚を辞めるように言います。
集会に参加している人々は、本物のずぶ濡れボーイズが現れたことに大興奮し、ステージは大いに盛り上がります。
しかし、ストークス候補はずぶ濡れボーイズが元囚人であるとして非難し、ステージは中断するのですが、逆にストークスがブーイングを受けて退場させられます。
再びずぶ濡れボーイズの歌が始まり、ストークスの対立候補であるパピー知事がステージに上がります。知事はこのずぶ濡れボーイズの人気を利用しようと考えたのです。そこで、ずぶ濡れボーイズに恩赦を与えたのです。人々は歓喜し、エヴァレットはまた妻ペニーを取り戻すことができました。
しかし、保安官はまた3人を狙っていました。法律を無視し、3人を処刑しようとします。エヴァレットはひざまずき、最後の祈りを捧げます。するとそこへ大量の水が押し寄せます。ダムの水が氾濫したのです。3人はこの洪水に助けられ、処刑を逃れることができたのでした。
コーエン兄弟おすすめ作品3作の第1位:「オー・ブラザー!」の感想
コーエン兄弟の作品の中でもブラック色が薄めのコメディ作品です。
脱獄した3人組が、様々な人々に出会いながら逃亡劇を繰り広げるロードムービーです。
コーエン兄弟のブラックコメディは、主人公が不運なラストを迎える展開が多いですが、この作品はかなりハッピーなラストです。
エヴァレットは最後のシーンで言います。
「終わりよければ全て良し」と。まさにそんな作品です。
人生どんなに悪い状況でも、諦めずに頑張れば願いは叶うというストレートなメッセージが込められていると思います。
3人の囚人が昔埋めた大金を堀り出すために奮闘するドタバタ劇なのですが、決してただのドタバタ劇ではありません。
下品なジョークや下ネタなどは出てきません。
ギリシャ叙事詩をベースにした文学的雰囲気もありつつ、当時の黒人差別や、政治、宗教的な風刺も盛り込んでいます。
非常にスマート、知的な作品です。
そして音楽も素晴らしい。
この作品のサウンドトラックは全米で700万枚を越える大ヒットとなり、グラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞するほどでした。
アメリカ南部ののんびりした素朴な音楽、ブルース、古き良き時代の心地良い音楽がとても良かったですね。
主演ジョージ・クルーニーも魅力的でした。
当時は二枚目のキャラクターばかりのジョージ・クルーニーだったので、珍しい三枚目キャラでした。
やたら髪型を気にしている伊達男というキャラクターが笑いを誘いました。
どんな役でもこなすジョージ・クルーニーの器用さが光っていました。
ジョン・タトゥーロ、ジョン・グッドマンのコーエン組俳優の活躍も良かったですね。
この二人がいるとコーエン兄弟作品だなという感じがしますね。
以上、コーエン兄弟のヒット作「オー・ブラザー!」についてご紹介してきました。
ジャンル的にはコメディですが、実にたくさんの要素が詰まった贅沢な作品です。
「サバービコ 仮面を被った街」でコーエン兄弟を好きになったという方はぜひご覧になってくださいね。
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