映画「怪物はささやく」を観た私の感想
気になっていたダーク・ファンタジー「怪物はささやく」をやっと鑑賞しました。
大好きだった「パンズ・ラビリンス」の制作スタッフが手掛ける作品ということで期待していました。
予想通り、素晴らしい映像と心揺さぶるストーリーでしたが・・・。
原作はパトリック・ネスの「怪物はささやく」です。
テーマはズシンと重苦くて、シンプルそうで難しい、難しそうでシンプルな内容でした。
私は、今回映画を観る前に、原作を先に読んでいます。
前回の映画「怪物はささやく」のあらすじの記事を書きましたが、そのタイトルに「原作を読んでから映画を観るか?映画を観てから原作を読むか?」と言う文章を入れました。
これに対しての私の意見は、この記事の一番最後に書いています!
>>「映画「怪物はささやく」のキャストとあらすじ!原作を読んでから映画を観るべきか?映画を観てから原作を読むべきか?」
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映画「怪物はささやく」を観た私の感想:少年が向き合う真実
主人公の13歳のコナーは、ガン末期の母親、離婚して別の家族のいる父親、仲の良くない祖母という複雑な家庭環境の少年です。
学校でもいじめられっ子たちとトラブルばかり起こしています。
そんなコナーは周りの13歳の子供たちよりも、ある事実と向き合わなければならなかったのです。
その事実とは「人生とは矛盾だらけ」ということだと思います。
コナーは大好きな母親に長生きしてほしいと思いながらも、母親が死を迎えることで早くこの苦しみから解放されたいとも思っていました。
少年はこの自分の矛盾した気持ちに苦しめられていたのです。
また、コナーの周りの人々も矛盾した人間ばかりです。
コナーを嫌っていて厳しい態度をとる祖母は、実はコナーに愛情を持っていたり、優しく見える父親であっても、自分と一緒に暮らすことは拒んだり。
いじめっ子も、実はコナーのことを心配する一面を見せたりします。
良い人、悪い人というだけでなく、人間は良い面も悪い面も持っているのです。
コナーの前に現れた怪物は、コナーに人生の矛盾を教えるためにやってきたのだと思います。
そして、人生の矛盾についてのたとえ話をすることで、コナーの抱えるモヤモヤを解き放とうとしたのです。
怪物の話を聞き、会話することで、コナーはやっと自分の本当の気持ちと向き合います。
それは「母親の死を望んでいないけれど、望んでもいる」という残酷な気持ちでした。
この気持ちに大きな罪悪感を抱いていたコナーでしたが、この矛盾こそが、人生だと悟ることができたのです。
このストーリー展開が素晴らしかったですね。
人生の矛盾を知り、母親の死を受け入れたコナーのラストシーンは涙が止まりませんでした
映画「怪物はささやく」を観た私の感想:子供たちに見てほしい映画
主人公のコナーは、末期がんの母と離婚した父という複雑な環境にいました。
その抱える苦悩は想像を絶するものだと思います。
しかし、ここまでの大きな問題ではなくても、思春期の頃には、誰でも人生の「矛盾」に向き合わなくてはいけない問題が出てくると思います。
そんな時にこの映画を見ることで、コナーの気持ちがスッと理解できるかもしれません。
映画「怪物はささやく」を観た私の感想:映像が良かった
「パンズ・ラビリンス」の映像美が印象的だったので、今回も美しい映像に期待していました。
ダーク・ファンタジーということで、暗く恐ろしい映像でしたが、気持ち悪いグロテスクな怖さではありません。
恐ろしくも温かみのあるような、どこか懐かしいような不思議な映像でした。
怪物が語る物語の映像は、まるで絵画を見ているような美しさがありました。
水彩画のような映像が面白かったですね。
子供に絵本を読んでいるような感じもしました。
怪物の姿もユニークでした。初めは恐ろしい怪物に見えましたが、話をするうちにやさしさがにじみ出てくるのです。
子供の頃、外見は恐いけれど、どこか優しさのある大人っていたなと思い出しました。
ここまで私の感想でした。
シンプルそうで難しい、難しそうでシンプルな内容でした。
しっかり理解できているのかどうかわかりませんが、自分なりに理解して納得することができました。
観る方によって、様々な解釈がある映画だと思います。
また、母親、父親、祖母、子供と、自分の立場によっても感じ方が変わると思います。
またしばらくしてから鑑賞してみたいと思う作品でした。
映画「怪物はささやく」を観た私の感想:ちょっと辛口を言えば・・。
ラストも涙を流してしまったし、水彩画のような映像は、好きでした。
ただし映画「怪物はささやく」を観た後、「パチパチパチパチ!」と自分の中で拍手喝采ではなかったのです。
それは、なぜか?ずっと考えていました。
そして、時間がたってやっと気づきました。
単純な理由です。
私は、先にパトリック・ネスの原作「怪物はささやく」を読んでいたからなのです。
例えば、恋愛小説や推理小説、これらは原作読んでから映画見ても、映画を観てから原作読んでも、素晴らしい作品は、どちらも素晴らしいので、どちらが先でも構わないと思います。
でも、この映画「怪物はささやく」はファンタジーです。
ファンタジーって、現実からかけ離れているから、その登場人物を想像する想像力には、個人差あります。
まさにこの映画「怪物はささやく」の、一番大事な怪物、
原作の本だけ読んで、100人にこの怪物の姿を想像させたら、100通りの姿かたちがあると思います。
実は、私が原作「怪物はささやく」を読んで、頭の中で空想していた怪物の姿かたち。
映画の「怪物はささやく」の怪物と、全然違うものでした。
原作者のパトリック・ネスは、映画の「怪物はささやく」の脚本にも携わっているから、映画の怪物の姿は、パトリック・ネスのイメージなんでしょうね。
ただ、原作を読んでいる途中に、私が想像してしまった怪物のイメージが私の脳に焼き付いてしまい頭から離れなくなっていたので、この映画を観ながらも、何とも言えない違和感が離れなかったのです。
・・・だから、やっぱりファンタジーの映画とかは、映画を観てから原作を読むことの方をお勧めします。
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