映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレ)と感想です!
映画「スリー・ビルボード」は、2017年公開のアメリカ映画です。
原題は Three Billboards Outside Ebbing, Missouri。
この映画「スリー・ビルボード」は、アカデミー賞で作品賞、脚本賞、作曲賞、編集賞などにノミネートされ、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、サム・ロックウェルが助演男優賞を受賞した注目のサスペンス作品です。
娘を殺害された母親が、ある3つの看板を立てました。
この看板の内容をめぐり、警察や町の人々を巻き込む事件に発展していくのでした。
さあ、映画「スリー・ビルボード」を観た私の感想の前に、映画「スリー・ビルボード」のあらすじです。
途中からネタバレと書いてあります。
サスペンス映画なので、まだ映画を観ていない方は、ここからネタバレありマーク以降は、映画を観てから読んで下さいね!
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映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレあり):3つの看板を立てるミドルレッド
映画の舞台は、ミズーリ州の田舎町エビング。
まずは、広いアメリカのどの辺りにあるのか?地図で確認しておきましょう。
フランシス・マクドーマンド演じるミルドレッドは、変わり者しか通らないという道にある看板を見上げていました。
そしてこの看板を管理している広告会社へ行き、オーナーのレッドに1ヶ月分の広告費5000ドルを渡し、作成してほしい看板の内容を渡します。
数日後、作成中の看板を見たディクソン巡査は、慌ててウィロビー署長に電話をかけます。
その3枚の看板の内容とは「レイプされて殺された」「犯人逮捕はまだ?」「ウィロビー署長は何をしている?」というものでした。
“RAPED WHILE DYING”
“AND STILL NO ARRESTS”
“HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?”
ミルドレッドは、7カ月前にレイプされ焼死体で見つかった少女アンジェラの母親だったのです。
ミルドレッドは、この看板の前でテレビのインタビューに答えて警察を批判します。
映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレあり):嫌がらせを受けるミルドレッド親子
ミルドレッドは息子のロビーと一緒に暮らしていました。
広告のことが原因でロビーは学校で嫌がらせを受けることになります。
ウィロビー署長は町中の人々から信頼されていたのです。
ミルドレッドも様々な人から批判を受けたり嫌がらせを受けるのでした。
ウィロビー署長はミルドレッドを訪ね、冷静に話をします。
娘の事件はちゃんと捜査しているが、証拠が少なすぎるのでなかなか犯人を見つけられないことを話します。
そして、自分は末期がんであることを告白します。
しかし、ミルドレッドは末期がんであることを知っていました。
「死んでからじゃ意味がないのよ」と言い放ちます。
ミルドレッドの元夫でアンジェラの父親であるチャーリーが怒って、ミルドレッドの家に現れます。
元夫は19歳の新しい恋人と一緒でした。ど
うしてあんな広告を出したんだ?
広告じゃ娘は生き返らないと攻め立てます。
<------ここからネタバレ記事あり------>
映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレあり):自ら命を絶つウィロビー署長
ウィロビー署長は湖のほとりで、娘と妻と幸せな時間を過ごしました。
そしてその夜、銃自殺をするのでした。
妻に残した手紙には、これから長い闘病生活で君を悲しませたくなかったと綴ってありました。
ウィロビー署長の死の知らせを聞き取り乱したディクソン巡査は、広告会社のレッドのところへ行き、ボコボコにして窓から突き落とします。
このディクソン巡査の行き過ぎた行動は、ウィロビー署長の代わりに赴任してきた新しい署長が見ていました。
そしてディクソン巡査は解雇されるのでした。
映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレあり):ウィロビー署長から手紙を受け取るミルドレッド
ミルドレッドは、ウィロビー署長の妻から、ウィロビー巡査からの手紙を受け取ります。
そこには、アンジェラを殺した犯人を逮捕できないことへの謝罪が綴られてありました。
そして看板は名案だった、来月分の広告費は自分が払う、健闘を祈るという内容が書いてありました。
ウィロビー署長の死は、看板への重圧もあったのではないかという声もあり、ミルドレッドへの嫌がらせは続いていました。そして3つの看板は何者かにより燃やされてしまいました。
映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレあり):ウィロビー署長から手紙を受け取るディクソン
失業したディクソンは酒に溺れる日々を送っていました。
そこへ元同僚からウィロビー署長からの手紙があるから、夜になったらこっそり取りに来るように言われます。
夜の警察署の中で手紙を読むディクソン。
お前は良い警官になる素質がある、本来はまっとうな人間だ、刑事になるために態度を改めてほしいなどの温かいメッセージが綴ってありました。
そこへ火炎瓶が投げ込まれ、警察署は炎に包まれます。ミルドレッドが警察署に火を放ったのです。ディクソンは何とか脱出しますが、全身に大やけどを負いました。
ミルドレッドは友人の証言により放火の罪から逃れることができました。
映画「スリー・ビルボード」のあらすじ(ネタバレあり):犯人捜しをするディクソンとミルドレッド
バーで飲んでいたディクソンは、偶然隣に座った男が、若い女性を襲ったという自慢話をしているのを聞きました。
アンジェラを襲った犯人だと確信したディクソンは、わざと男にケンカを売り、皮膚をひっかきDNAを入手します。
そしてミルドレッドに連絡し、犯人を見つけたかもしれないと連絡をします。
ミルドレッドは素直にディクソンに感謝します。しかし、DNA鑑定の結果、その男は犯人でないことがわかりました。
しかし、その男はアンジェラを襲った犯人ではありませんが、女性をレイプした男には違いありません。
そこで二人は一緒にその男の住んでいるアイダホに向かうことにします。
車を走らせながら、ミルドレッドはディクソンに告白します。
「警察署に火を放ったのは自分だ」と。
するとディクソンは「君以外に誰がいるんだ」と笑います。
そしてディクソンは、男を見つけたら殺すのか?と聞きます。
ミルドレッドは道々決めようと答えるのでした。
<------ここまでネタバレ記事あり------>
映画「スリー・ビルボード」のあらすじでした。
では、次は、映画「スリー・ビルボード」観た私の感想です。
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映画「スリー・ビルボード」の感想です!
映画「スリー・ビルボード」は、アカデミー賞では6部門にノミネートされ、フランシス・マクドーマンドは主演女優賞、サム・ロックウェルは助演男優賞を受賞しました。
非常に高い評価を得ている作品ということで楽しみにしていました。
映画「スリー・ビルボード」の感想:表情を変えていくストーリー展開
この作品「スリー・ビルボード」は一応サスペンスというジャンルになっているのですが、ジャンル分けするのが難しい作品です。
「スリー・ビルボード」の冒頭からの展開はサスペンスです。
娘を殺された母親ミルドレッドが、真面目に捜査してくれない警察に訴えかける看板を出すことで、警察と犯人を追い詰めていくというストーリーです。
果たして、ミルドレッドは犯人を探し出すことができるのか?と気合を入れて見ていました。
青いつなぎ服にバンダナをつけたミルドレッドの戦闘態勢の気迫に圧倒されました。
しかし、途中から「あれ?」という展開になります。
ミルドレッドの怒りの矛先であるウィロビー署長がミルドレッドの家を訪ねてくるのですが、ウィロビー署長がすごく良い人なのです。
「全力で捜査しているが、手がかりがゼロで見つけられずにいる、申し訳ない」というような謝罪をするのです。
そして、一気にサスペンスの表情から「スリー・ビルボード」は、ヒューマンドラマに変わっていきました。
さらに、横暴な警察官ディクソンのバイオレンス満載のシーンに変わったと思ったら、クスリと笑えるブラックジョークが出てきたり、映画の表情はコロコロ変わっていくのです。
まさに「スリー・ビルボード」は、予想不能な展開で、良い意味で疲れる作品でした。
「スリー・ビルボード」のラストは、敵対してきたミルドレッドとディクソンが一緒にレイプ犯を探しに行くというシーンで終わるのですが、このシーンが非常に温かいのです。
人間の温かさや、人生の温かさをジーンと感じられるのです。
このようなラストに着地するとは、全く予想できませんでした。
そして、混乱している内容のように見えるのですが、この映画「スリー・ビルボード」は緻密に計算されている構成になっているのがすごいですね。
本当に巧く作り込まれた作品だなと感心しました。
映画「スリー・ビルボード」の感想:悪い人物がいない
この「スリー・ビルボード」には悪い人物が出てきません。
しかしラブコメなどによくある、良い人しか出てこないという感じとはちょっと違います。
どの登場人物も良い面、悪い面もあり、結果的に悪人はいないのです。
ミルドレッドは周りからどんな差別や嫌がらせを受けても娘の復讐のために戦うお母さんです。
その強さはすごいと思います。
しかし、そのせいで息子がいじめられるのはお構いなしだったり、警察署を放火したり、行き過ぎた行動もあります。
また、娘の死ぬ間際にした会話は「レイプされれば良いのに」でした。
ウィロビー署長は、同僚や町中の人から慕われる人物です。
しかし、家族に迷惑をかけないためということで自殺した行動は、事件が未解決のままのミルドレッドに対しても、妻や子供達に対しても正しいことだったのかはわかりません。
見方によっては、全ての問題から逃げたようにも思えます。
そして、頭が悪い暴力警官のディクソン。
自分に従わない人間は容赦なく痛めつけるとんでもなく嫌なヤツです。
しかしディクソンの行動は、実は正義感を貫こうとしているだけでもあるのです。
ウィロビー署長を死に追いやった人物への激しい怒りや、レイプ犯への激しい怒りは誰にも負けません。
計算などせずに、この怒りに真っ直ぐ進んでいけるところは、ある意味すごいと思います。
本当の意味で正義感の強い男なのかもしれません。最終的には、身を挺してレイプ犯の証拠を得ようと闘う、実はかなりかっこいいヤツなのです。
このように、「スリー・ビルボード」は、人間の良い面と悪い面の描き方が実に巧かったです。
「お見事!」と言いたくなりましたね。
映画「スリー・ビルボード」の感想:お気に入りのシーン
「スリー・ビルボード」では、特に好きなシーンが2つありました。
1つ目は、看板を立てたミルドレッドに対し、ウィロビー署長がミルドレッドの家に行った時です。
ウィロビー署長はミルドレッドに「実は死期が近い」と告白します。
するとミルドレッドは「だから死ぬ前に看板をつけたのよ」とサラリを言いました。
死期が迫っていることを知りながら、それでも容赦なく追い打ちかけようとするミルドレッドの強さ、怖さ。
そして、死期が迫っていることを言い訳にしているウィロビー署長の弱さも感じました。
2つ目は、ラストでミルドレッドとディクソンがレイプ犯を見つけに行くために、ドライブする時です。
ミルドレッドは「警察署を放火したのは私」と告白します。
するとディクソンは「そんなのわかっていた」を笑います。
自分に大やけどを負わせた相手だとわかりながら、ミルドレッドをサポートしようとするディクソンの器の大きさに感動しました。
そして、あんなに強気だったミルドレッドが、放火した罪を認めて謝罪したところにも胸が熱くなりました。
以上が映画「スリー・ビルボード」を観た私の感想でした。
「スリー・ビルボード」は、サスペンス映画だと思ったら、全く違う方向に進んでしまい、予想外の作品でした。
脚本の素晴らしさと、フランシス・マクドーマンド、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソンの演技も良かったですね。
映画「スリー・ビルボード」は予想以上の出来栄えでした。
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