映画「運び屋」感想と評価
クリント・イーストウッド監督が10年ぶりに監督&主演を務める作品ということで気になっていた作品です。
予告はかなりサスペンス色の強いものだったので、88歳になっても鋭くかっこいいクリント・イーストウッドの姿が見れると思い期待していました。
しかし、本編は「あれ?映画を間違えた?」と思うほどゆるーく穏やかな作品でした。
クリント・イーストウッドのセンスのよさ、職人芸、映画愛に脱帽の名作でした。
私の評価は100点中90点です。
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映画「運び屋」感想と評価:タイトル
まずは、ちょっと予備知識。」
この映画「運び屋」の原題は「The Mule」
muleってどんな意味なのかな?発音は「ミュール」
muleって写真のような「ラバ」の事。
でもこの「ラバ」は、荷物を運ぶ時に使われるので「麻薬を密輸するために, 外国からの運び屋として雇われるしろうと旅行者」と」いう意味で使われるみたいです。
まさに、この映画にぴったりのタイトルですね。
では、まず映画「運び屋」のキャストとあらすじにを先に読みたい方は、こちらの記事を!
参考>>映画「運び屋」のキャストとあらすじ(ネタバレ)!クリント・イーストウッドの集大成とも言われる名作!
映画「運び屋」感想と評価:アールという人物の面白さ
クリント・イーストウッド演じるアール・ストーンは、メキシコ麻薬組織の13億円分の麻薬を移動させる運び屋。
周りには組織のメンバーが張り付き、麻薬取締局による監視も強化されていきます。
かなりサスペンス色の強い状況なのですが、この作品には全く緊迫感がありません。
大量の麻薬を乗せながら、アールは懐メロミュージックを口ずさみながら楽しくドライブしていくのです。
面白いのは、そんなのんびりモードなのはアールだけというところ。
運び屋アールを監視する組織の手下たちは、常にピリピリ緊迫しているのです。
血気盛んな若者たちは、ちょっとしたことで一発触発状態になります。
13億円もの麻薬が動いているので当然ですよね。
警察に見つかったら逮捕、しくじったら組織から抹殺されるのです。
そんな組織を追う麻薬取締官たちも必死です。
上司からは早く検挙するように圧力もかかります。
ブラッドリー・クーパー演じるコリン・ベイツ捜査官たちはプライドをかけて、昼夜問わずアール逮捕に躍起になります。
でも渦中のアールだけは、全くのマイペースなのです。
そんな「お気楽おじいちゃんVS必死な若者たち」の構図がとても笑えました。
アールはそんな周りの若者(ブラッドリー・クーパー演じるベーツ捜査官は若者ではありませんが、アールから見たら若者でしょう)に対して、老人ならではのアドバイスをするのです。
これがすごく心に染みるんです。
組織の一人リコに対して「こんなことから足を洗ったほうがいい」、ベーツ捜査官に対して「仕事人間になってはいけない。
家族も大事にしないと自分のようになってしまう」と諭します。
アールの上手いところは、説教じみたところがなくサラリと言うところなんです。
これが逆に相手の心に響きます。
さらに、この映画はクリント・イーストウッド自身を投影している映画とも言われています。
だから、映画のあちこちに散りばめられているアールのメッセージがクリント・イーストウッド本人からのメッセージのようで、より一層心打たれました。
最近はすっかり名監督のイメージが強いクリント・イーストウッドですが、やはり俳優としても凄いことを見せつけられた名演技でした。
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映画「運び屋」感想と評価:差別問題・インターネット社会に対するメッセージ
クリント・イーストウッドはやはり巧いなぁと思わされたのが、爽やかなハートフルムービーの中に私たちが向き合うべき問題を盛り込んでいるところでした。
全く押しつけるような演出ではないのですが、しっかり観た人の心に残すところが凄いです。
アールは白人代表のような人物なのだと思います。
黒人を見て「ニグロ」と呼び、バイク乗りは男と決めつける。
メキシコ人に対してバカにした態度をとることもあります。
アメリカにはまだまだこのような差別が残っていることを静かに伝えていました。
また、ネット嫌いのアールを通してSNSに依存しすぎている社会への警笛も鳴らしています。
アールの周りの若者たちは、常にスマホをいじりネットに依存しています。
この描写があまりにもわざとらしいのですが、90歳のご老人たちには、私たちの姿はこう見えているのかもしれません。
アールはスマホやネットではなく、ちゃんと人の目を見て話す大切さを伝えていました。
映画「運び屋」感想と評価:ブラッドリー・クーパーも良かった!
この映画は間違いなくクリント・イーストウッドありきの映画です。
クリント・イーストウッドの独壇場でした。
しかし巨匠のすごいところは、周りの俳優もしっかり光らせるところでした。
アンディ・ガルシアやローレンス・フィッシュバーン
も良かったのですが、個人的に楽しめたのがベーツ捜査官を演じたブラッドリー・クーパー
でした。
ブラッドリー・クーパーは昨年「アリー スター誕生」を初監督し大成功をおさめました。
実はこの「アリー スター誕生」はもともとクリント・イーストウッドが監督するはずだったのです。
しかし色々な事情からクリント・イーストウッドが監督することは実現せず、その後継者となったのがブラッドリー・クーパーだったのです。
クリント・イーストウッドは「アメリカン・スナイパー」でブラッドリー・クーパーを主役に起用してから、ブラッドリー・クーパーを俳優として監督として認めているのです。
「運び屋」のオファーを受けたブラッドリー・クーパーは、クリント・イーストウッドと初共演できると知り、即答でオファーを受けたと言います。
この二人の師弟関係が、そのままアールとベーツというキャラクターに投影されているようで感動的でした。
以上が映画「運び屋」を観た私の感想と評価でした。
べた褒めしてしまいましたが、実はあまりクリント・イーストウッドが好きではないんです。
いつも、一応観てみようと思いクリント・イーストウッド作品を見ると、やはり素晴らしいと認めざるを得なくなります。
過去のクリント・イーストウッド作品もまた見てみたくなりました。
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